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室内環境中の微小粒子の健康影響と計測技術

明星 敏彦 教授(産業医科大学産業生態科学研究所)

概要

 建築物衛生法では、浮遊粉じんの中でも呼吸器に影響を与える可能性の高い粒子径10μm以下のものが対象となる。これら浮遊粉じん濃度の管理には、粉じん計が用いられているが、微小粒子測定器の進歩、コンピュータの小型高性能化により、微小粒子の濃度測定から多くの情報が得られるようになってきた。今後の建築物衛生法の対象粒子あるいは基準値の改正等を検討する際の基礎資料を得るためにPM2.5を含む微小粒子の計測・分析技術等について国内外の動向を調査した。

1)対象粉じんの濃度
 従来は100μg/m3 であったが、今後はPM2.5 のレベル(15 μg/m3)まで下がると思われる。光散乱方式の粉じん計を用いた測定の下限に近付いている一方、光散乱方式粒子計数装置の測定濃度の上限は、1桁以上上がっており、希釈せずにPM2.5 のレベルを測定可能になってきた。

2)個人暴露濃度の連続測定
 米国では粉じん検出部単体の製品があり、データ記録部をスマートフォンで代用し低価格化を目指していた。さらに、両者の接続を無線で行い、他に温度や炭酸ガス濃度を測定するセンサを取り付けることを検討していた。その他、低価格のセンサの精度管理をいかに行うかの議論がなされていたが、これらの装置は実験のための使用を考えており、我が国のような規制のための測定を目的としているわけではない。

3)粉じん粒子の測定対象サイズ
 健康影響は粉じんの質量濃度の値だけでは判断が難しい。測定対象粒子の大きさもサブミクロンサイズ(0.1~1μm)からナノサイズ(0.001~0.1μm)まで下がっており、個数濃度に比べ質量濃度が低く生体影響についても基準となる濃度を別に考えるという意見が多い。
 現在においてもナノサイズ粒子の測定装置はあるものの小型で携帯可能とはいえない。

4)粉じん粒子の組成
 粒子の組成はその発生源を示し、それによって有害性の程度も異なる。質量分析装置を用いた粒子のオンライン測定は高性能であるものの、装置の大きさや価格から導入は困難である。
 一方で、卓上型走査型電子顕微鏡などオフラインの成分測定は従来に比べ簡易となり、今後さらに利用されると思われる。

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