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建築物衛生管理の地域性に関する調査研究

池田 耕一 教授 (日本大学理工学部建築学科)

概要

 いわゆる建築物衛生法が施行され、40年余り、世界的に見ても類のないこの法律の成果により、わが国の建築物管理は、適度に良好な室内温熱空気環境を保ちつつ、省エネルギー性やサステイナビリティとも整合した理想的な状況を実現している。しかし、本法律においては、延べ床面積が3000㎡未満の建築物は除外され、かつ社会的関心を集めているシックハウス問題などの化学物質による室内空気汚染についての検討が課題となっていた。また、冬季においては湿度基準の下限値を下回る不適率が異常に高いなど、いくつかの問題点が挙げられていた。そこで2005年迄にそれらに関する見直しが行われ、ホルムアルデヒド濃度に関する規定が加えられ、中央管理方式以外の個別空調等についても規制の対象とされるなど、いくつかの改正が行われた。


 しかし、それでもなお、3000㎡未満の建築物に関する規定や湿度の下限値のなどが見送られ今後の検討課題も少なくない。


 そのような課題の一つに、地域性の問題がある。北は北海道から南は沖縄まで南北に長い国土を有するわが国は、きわめて多様な気候風土を有するだけでなく、地域ごとにかなり多様な生活形態を有することを考えると、建築物衛生管理の規制のあり方が、全国一様・一律である弊害や問題点に関して、今までそのような検討がなされたことは皆無と言っても過言ではない。少なくとも気候の差異を考慮した国土交通省の地域区分を建築物衛生法にも導入することがまず検討されるべきであろう。さらには、文化やそれぞれの地域の特徴に根ざした地方性を検討する必要がある。


 本研究においては、上記のような建築物衛生管理に関する地域性の問題に関し、文献調査、現場での聞き取り調査・実測などを行い、建築物衛生法運用上の気候風土上の検討課題を精査し、法律の見直しのための資料を提供することを目的に研究を行った。

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