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寒冷地住宅の室内空気質の特徴と健康状態に関する調査研究

岸 玲子 教授 (北海道大学 大学院医学研究科 予防医学講座公衆衛生学分野)

概要

 化学物質は経年により放散され、室内濃度減少することが知られている。

 しかし室内空気中真菌量やダニアレルゲン量がどう変化するか、さらには居住者のSHS有訴の変化についての報告はない。そこで本研究では、住環境を3年間追跡し、室内の湿度環境、化学物質濃度、真菌量、ダニアレルゲン量の変化、および居住者のSHS症状の変化について明らかにすることを目的に実施した。


 平成19年度の研究では、新築戸建住宅を対象とした全国規模の疫学研究データから、寒冷地住宅の特徴と健康状態の関連について報告した。具体的にはSHS有訴者のいる世帯の割合が本州・九州地域に比べて札幌市が高いこと(SHS有訴率;本州・九州地域3.3%、札幌市4.7%)、住宅の特徴として札幌市では木造建築が占める割合が高く、強制換気による室内と外気の入れ替えを積極的に行なっている割合が高いことが判明した。これより札幌市の湿度環境は本州・九州地域よりも良好だったが、湿度とSHS有訴には関連性があることが示された。引き続き平成20年度の研究では、対象住宅の室内環境測定および居住者全員に自記式調査表を用いた自覚症状、生活習慣の調査結果を報告した。この結果、札幌市の住宅では木材に使われるFormaldehydeや木材自体から放散するα-pineneSHS症状と関連することを明らかにした。寒冷地の高気密性の住宅ではこのような化学物質の蓄積により室内空気質が悪化し、その結果健康影響を及ぼす懸念があり、換気の励行について更なる啓発が必要であることを示した。

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