2023.04.28調査研究

建築物内の環境微生物による接触感染リスクと消毒の有効性

研究指導員:田原口智士(麻布大学獣医学部 教授)・大仲賢二(麻布大学生命・環境科学部 准教授)

環境表面を介した接触感染は、COVID-19の流行を契機に注目が集まった反面、十分な検証が行われないままに建築物内の接触感染対策が実施されてきた。本調査では、建築物内における感染制御のための過不足のない清掃・消毒作業の検討を目的として、建築物内の環境表面における汚染実態の調査を行った。調査は講習会等で使用する居室内の長机を対象とし、汚染実態の評価にはATP値と一般生菌数を用いた。

本調査では、長机を端と中央に分画してサンプリングを実施した。ATP値・一般生菌数ともに端区画の汚染度が高い傾向が認められたことから、長机内における汚染箇所は端区画であると推定された。この原因として、清拭時に端区画の汚染が除去しきれていない可能性が示唆された。また、定期清掃の頻度が低かった地点では、他の地点と比較してATP値・一般生菌数ともに汚染度が有意に高く、同定した菌株の定着が指摘された。

ATP値と一般生菌数がともに高い状態は、表面自体が単に汚染されていることのみならず、接触感染リスクの増大についても懸念される。こうしたことから、接触感染対策を実施する際には、定期の清掃・消毒作業の実施とともにATP値・一般生菌数等による汚染度の評価が重要であり、今後の課題として汚染度評価のための指針が必要であると結論付けた。

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