2023.04.25調査研究
建築物のマイクロバイオームの地理的・時間的変動調査
研究代表者:鈴木治夫(慶應義塾大学)
本研究では、建築物マイクロバイオームを構成する微生物分類群と薬剤耐性遺伝子の多様性を明らかにすることを目的として、異なる都市で異なる時期に建築物のサンプルを採取し、ショットガン・メタゲノム配列データを生成した。
メタゲノム解析により、建築物を利用する人々に由来する微生物(ヒトの皮膚・口腔に生息する常在細菌)を検出し、建築物マイクロバイオームの都市間差を明らかにした。日本国内の都市の建築環境で高頻度に検出された薬剤耐性遺伝子の上位5クラスは、Drug_and_biocide_resistance、betalactams、MLS (macrolides, lincosamides, streptogamines)、Aminoglycosides、Multi-drug_resistance であった。
建築物のマイクロバイオーム(ショットガン・メタゲノム配列)データは、建築物の運用や管理に役立つ情報を提供することができる。建築物内の微生物多様性を高め、健康を害する可能性のある微生物への曝露を最小限に抑えるためには、例えば、窓を開けて換気して室内の外気の割合を増やす、建築物に使用する材質を変更する、湿度を調整する、植物を設置するなどの対策が考えられる。研究成果を広く社会に還元するため、学会での発表や一般向けの講演会に参加し、学術雑誌への論文投稿を進めている。今後も、建築物マイクロバイオームに関する研究を継続して、建築物内の環境改善に貢献することを目指す。