2023.03.25調査研究
事業所におけるCOVID-19クラスター事例の調査
研究代表者:菊田弘輝(北海道大学)
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染拡大の当初から、事業所の中でも共用室、コールセンター、オフィスにおけるクラスターの発生が続いている。特定建築物の一用途かつ社会インフラの1つとして、事業規模が増加しているコールセンターは、一般的に事業所内の就業人数が多くなる傾向があり、滞在時間も長く、発生を伴う事業内容である。そこで、COVID-19のクラスター空間として、エアロゾル感染が疑われるコールセンターの事例を中心に、本学、国立感染症研究所、関係自治体保健所、関係事業者と協働し、現地観察に加えて空調換気設備と室内空気環境の調査を行った。調査結果を基に、設計上かつ運用上の問題(設備等の維持管理は除く)を抽出して整理し、得られた知見を以下に示す。
・防音目的で欄間の目張りによる空気の流れの問題【運用】
・事業所の区分けで個室化による無窓と給気口無の問題【設計・運用】
・1人当たりの必要換気量30m3/hの確保と就業人数の問題【設計・運用】
・1つの空調機系統+複数のテナント使用によるCO2濃度制御の問題【設計】
・換気量不足+サーキュレーター使用による「風下感染」の問題【設計・運用】
・事業所の勤務体制と空調換気の時間が運転の問題【運用】
今回、特に運用上の問題点を受けての対策としては、コールセンター事業者側は基本的な感染対策に加え、就業人数の適正管理、可能な範囲での窓開け換気、HEPAフィルター相当の空気清浄機やサーキュレーターの増設、換気の目安となるCO2センサーを用いた換気に関する状況把握が必要である。さらに、運転スケジュールの見直し等、建物管理者側と共に空調換気対策を行うことが重要である。なお、設計上の問題点に関しては、対策とその効果も含めて引き続き検証が必要である。