2022.06.14調査研究
建物内部の環境表面における新型コロナウイルスの定性検査
研究代表者:阪東美智子(国立保健医療科学院)
1.目的 本研究は、新型コロナウイルス感染症予防に資する建築物内部の適切な消毒・清掃手法の検証および確立を行うことを目的とする。感染症の経路は、飛沫感染、接触感染、空気感染の3つに大別されるが、本研究では環境表面を介した接触感染の予防・軽減を図るための基礎資料として、環境表面における新型コロナウイルスの定性試験を実施する。
2.方法 東京都新宿駅の公衆トイレ及び新宿・歌舞伎町にある接待を伴う飲食店を対象に、SARS-CoV-2 RNAの拭き取り調査を行い、ウイルスの付着状況を調べた。公衆トイレは2022年1月20,21日に、飲食店は2月18,25日に拭き取り検査用スワブを用い、対象とする箇所(高頻度接触面とされる箇所の他に手でよく触れられると考えられる箇所等)を拭き取った合計66試料(公衆トイレ8試料、飲食店58試料)を、nCoV wipe Testキット(SHIMADZU)を用いRT-PCR法により調査した。コロナウイルス標準原液としてNATrol SARS-CoV2(ZMC社)を10段階希釈し、標準試料とした。各標準試料の濃度はSTD1:5,000コピー、STD2:500コピー、STD3:50コピーとした。
3.結果及び考察 11試料において閾値(Threshold Line)を超えたが、ベースライン補正を変更した結果、増幅が見られなかったため偽陽性とし、66試料すべてにおいてSARS-CoV-2 RNAは検出されなかった。アメリカで実施された研究では、市中の348か所の環境表面から採取したサンプルのうち83%の表面サンプルでSARS-CoV-2 RNAが陽性であったと報告されている。本研究では、試料数が少数であったこと、採取箇所が限定されていたこと、清掃・消毒が適切に実施されていたこと、などが結果に影響していると考えられる。