2021.05.26調査研究

個別空調における衛生管理の実態調査(2年目)

研究指導員:鍵直樹(東京工業大学環境・社会理工学院建築学系 准教授

前年度に実施した「個別空調における衛生管理の実態」の継続調査である。前年度実施した施設と新たに実態調査協力可の施設12施設を対象に、前年度同様、個別空調の利用状況に関するアンケートと空気環境に関する実態調査を行った。実態調査は「短期調査」(居室内で複合測定器を用いた1日間の連続測定)と「中期調査」(データロガーによるCO2濃度・温度・相対湿度のモニタリング調)を実施した。

今回の調査結果から、個別空調の維持管理状況等については、建築物環境衛生管理基準に示される「点検」の実施率の低いことが分かった。点検は目視点検が原則であるが、その作業は天井等に埋設された本体を取り出して作業しなければならないことが実施の低率につながると思われ、メーカー推奨する点検方法等について検証して認めるべきと考える。

実測調査では、今回新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発出以降、調査対象建築物の多くが出社制限や換気量の増加といった対応の効果からCO2濃度が低下した施設が多かった。また、常時基準値を適合している施設もあった。一方、換気対策に伴う外気導入により、相対湿度の不適合が目立つ結果となっていた。今回の調査施設では加湿装置を導入していない施設が半数程度あり、相対湿度の保持ならびに冬期の呼吸器系感染症対策として加湿装置の導入は有効と考える。

今回小中規模建築物も調査対象とした結果、換気能力が不十分なためCO2濃度が3,000ppmを超える例もあった。小林らの厚労科研の報告では「中規模建築物は建築物衛生法の努力義務はあるものの、特定建築物と比較すると 中規模建築物の維持管理状況には課題があることが示唆された。」と示されているが、今回の調査でも同様のことが言えると思われる。個別空調の点検強化は病原微生物による室内空気汚染の防止が目的であるが、空気環境管理項目でその状況を把握することは難しく、汚染状況を判断するにあたっての簡単かつ適当な点検方法等の提案が望まれる。

一覧へ戻る