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社会福祉施設の環境衛生管理に関する調査研究

金 勲 主任研究官(国立保健医療科学院生活環境研究部)

概要

 高齢者施設を中心とした社会福祉施設の室内環境衛生の管理に対する実態の把握及び保健所の支援モデルを構築することを目的とした維持管理マニュアルの作成を行った。具体的には、保健所と協力しワーキンググループを設置し、(1)全国の保健所を対象としたアンケート調査、(2)保健所における支援事例に関する調査、(3)実測及び聞き取り調査、(4)マニュアルの作成 を行った。これらにより、保健所設置自治体のうち、感染症対策など環境衛生管理に関して何らかの取組みを行っている自治体は1~2割と少ないことが明らかとなった。マニュアルについては、レジオネラ症や給湯・入浴設備に関するマニュアルが多く、環境衛生管理項目を網羅したマニュアルは存在していても有効に活用されていないことが確認された。

 また、いくつかの施設の冬期における実測結果では、温度及びCO2濃度は概ね良好であった。居室の平均温度は約21~26℃の範囲内で管理されており、施設によって目標管理温度に差があることが明らかとなった。一方、全施設で感染症対策を考慮して加湿を行っており湿度への関心は高いが、相対湿度は40%RHに至っておらず加湿量不足が明らかとなった。

 今後、施設で対応できる有効な加湿法や良好なレベルでの湿度管理のための提案と検証が必要である。これらの研究成果を踏まえ、環境衛生に関する専門的知識や技術を持つ職員が少ない社会福祉施設において活用することができるようなマニュアルを作成した。

 今後は、マニュアルの作成にととどまらず、講習会や施設からの相談の中で高齢者福祉施設の衛生的環境の確保を支援する必要がある。さらに社会福祉施設の実態を検証し、室内環境衛生水準の改善に向けて提案を行っていく必要があり、環境保健水準の底上げを意図した「建築物衛生法」との関係の見直し、ハイリスクアプローチとの連携・融合も視野に入れた検討が必要である。

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